首・肩・背中の痛み

首・肩・背中・腰に痛みがある方

⇒首・肩・背中・腰に痛みがある方は、リウマチ性多発筋痛症、関節リウマチ、
強直性脊椎炎、偽痛風、掌蹠膿疱症の疑いがあります。

リウマチ性多発筋痛症

急に、肩や背中、首、太ももに強い痛み(寝返りが打てないほどの痛み)が起こったり、発熱や体重減少が生じたりする疾患です。「リウマチ性」と言われているように、リウマチに似ているのですが、主に筋肉が痛くなる多発筋痛症の疾患です。 高齢者に多い傾向があるため、きちんと五十肩と見分ける必要があります。見極めるポイントとしては、下記の項目が挙げられます。

  1. 血液検査でCRP(炎症の数値)が高く出た
  2. 関節エコー検査で肩や腱の炎症が見つかった

リウマチ性多発筋痛症は、ステロイドが効きやすい疾患でもあります。肩の痛みが強くて寝返りを打つのが難しかった患者様の中には、治療を始めてから2~3日程経過した後に、痛みが緩和される方もいらっしゃいます。

関節リウマチ

手指や手首、膝、足指など、小さい関節が痛くなりやすい疾患です。高齢者になってからリウマチを発症した場合、肩や首、股関節などの大きな関節が痛くなりやすいです。診断も困難ですので、高齢の方は要注意です。
高齢になった時にリウマチを発症すると、血液検査で抗CCP抗体(リウマチの体質が判明できる項目)が陰性であることも多く、リウマチ性多発筋痛症と見分けるのが困難とされています。リウマチ性多発筋痛症の診断を受けた方でステロイドの治療を始めた患者様の中には、初めは痛みが治まったのにもかかわらず、薬を減らすと再発を繰り返す方も少なくありません。そういった方の中には、「実は関節リウマチだった」という方もいらっしゃいます。その場合、抗リウマチ薬を併用して治療を行います。

強直性脊椎炎
(きょうちょくせいせきついえん)

20代などの若年層に多く見られる、リウマチに似た疾患です。関節の中でも特に、背中や腰、股関節に痛みが生じます。手指や手首が痛くなりやすいリウマチとは違い、背中や腰、股関節に症状が現れやすいとされています。特に重い物を持つと、背中や腰などに痛みが出やすくなるので、「安静時での腰痛の有無」で見分ける必要があります。患者様の中には「楽にしていると腰痛がひどくなる」「身体を動かすと楽になる」「昼間より朝・夜の方が痛くなる」と訴える方も少なくありません。治療では主に、痛み止めを使います。痛みがひどかったり関節が変形したりしている場合は、抗リウマチ薬や生物学的製剤を処方します。

偽痛風

突然、手首に痛みが起こってしまう疾患です。高齢者に多く見られます。尿酸が関節に蓄積して痛みが起こる「痛風」と似ています。しかし偽痛風の場合は、尿酸ではなくピロリン酸が関節に蓄積することで痛みが発生します。痛風よりも高齢の患者様が多く、手首や肩、首、膝などの大きな関節に起こりやすいです。 腫れている関節内にはピロリン酸が蓄積しており、それを関節エコー検査や関節注射で調べてから画定診断をつけます。痛み止めや少量のステロイド剤で改善できます。

掌蹠膿疱症
(しょうせきのうほうしょう)

疾患名の通り、掌(てのひら)と蹠(あしのうら)に水ぶくれ(膿疱)が生じる疾患です。また、膝や足、腰などの関節が痛くなったり、胸鎖関節(きょうさかんせつ:鎖骨の付け根)が腫れて痛くなったりすることもあります。手のひらと足の裏にできた水ぶくれには、塗り薬を使って治します。また関節痛がある場合は、その度合いに応じて痛み止めや抗リウマチ薬、生物学的製剤を使います。