爪が黄色い、
手・足・顔に湿疹などの症状がある方
⇒爪が黄色い、手・足・顔に湿疹などの症状がある方は、乾癬、掌蹠膿疱症、皮膚筋炎、ベーチェット病の疑いがあります。
乾癬(かんせん)
爪が黄色い、もろくなってボロボロする、白く濁っているなどの症状があると「水虫では?」と心配する方も多いのではないでしょうか。しかし水虫の薬を塗っても解消されない場合は、乾癬が疑われます。乾癬とは、免疫細胞が間違って自身の身体を攻撃してしまう皮膚疾患で、発症すると爪や皮膚、関節に症状が起こります。
爪の見た目の変化は、水虫とそう変わりません。そのため「指や手首、膝関節、アキレス腱などの関節や腱が痛くないか」「頭や肘、お尻などにかさかさした赤い湿疹が出ていないか」という点で、見極める必要があります。特に、気になる症状が出ている爪の、第一関節が痛む場合は、乾癬の可能性が高まります。乾癬専用の薬、抗リウマチ薬や生物学的製剤で治療していきます。
掌蹠膿疱症
(しょうせきのうほうしょう)
掌(てのひら)と足の裏に、できものが生じた結果、皮が厚くなってカサカサする疾患です。鎖骨の付け根である胸鎖関節が腫れて痛くなったり、膝や足腰が痛くなったりすることもあります。できものは塗り薬で解消させます。また、関節痛の重症度に合わせて、痛み止めや抗リウマチ薬、生物学的製剤を処方することもあります。
SLE(全身性エリトマトーデス)
20~40代の女性がかかりやすい膠原病です。発症すると蝶形紅斑(ちょうけいこうはん:頬から鼻にかけての部分が赤くなったり毛が抜けたり、紫外線を浴びたところがかぶれたりする)という症状が起こります。身体のあらゆるところで免疫細胞が攻撃するため、皮膚の症状に加えて、口内や関節、肺、腎臓などにも症状が現れます。
- 痛みを伴わない口内炎が何度もできる
- 手指や膝の関節・筋肉が痛くなる
- 寒い場所にいると指先が真っ白に変色する(レイノー現象)
- 「白血球の減少」「尿たんぱく」「レントゲンで肺に影が映る」などの異常が見られる
などの症状も伴います。これらの症状の有無をチェックし、血液検査で血液検査で抗核抗体や抗Sm抗体、抗DNA抗体などの自己抗体が陽性であることを確認して診断を行います。
治療は、ステロイドや免疫抑制剤などを用いた薬物療法がメインになりますが、どこにどういった症状が現れているのかによって、処方量を調整します。皮膚の症状しか現れていない場合は、塗り薬を用いた治療と、日光を極力浴びない生活習慣で症状を緩和させます。
皮膚筋炎(ひふきんえん)
免疫細胞が筋肉や皮膚を攻撃してしまう、膠原病の一つです。目の周辺や首回り、手の甲、肘、膝の皮膚に赤く、カサカサした湿疹が発生します。多くの患者様に筋肉の症状が見られ、身体の中心部に近い筋肉や、首・二の腕・太ももの筋肉痛・筋力低下が伴います。こういった皮膚症状をチェックしたり、血液検査でCK(筋肉の炎症の数値)や抗ARS抗体などの自己抗体の有無を調べてから確定診断します。
また、免疫細胞が肺を攻撃する「間質性肺炎」を合併するリスクも高く、悪性腫瘍の合併リスクも少なくありません。筋電図や筋生検などは入院して検査が必要になるため、当院では入院が必要と判断した場合は、全身の検査が受けられる高度医療機関をご紹介させていただきます。また、当院には膠原病の治療に長く従事してきた専門医が在籍しており、退院後の外来でのフォローにも対応していますので、お気軽にご相談ください。
ベーチェット病
足のスネが腫れて痛み、赤いしこり(結節性紅斑)が生じる疾患です。他にも、カミソリ負けやニキビ、陰部潰瘍などの皮膚症状も見られます。それ以外の症状としては、痛みが強くて深い口内炎、関節痛(特に膝関節)、視力低下、視界の眩しさなどが挙げられます。免疫細胞が身体のあちこちを攻撃する膠原病の一種で、特に30才前後の男性がかかりやすい傾向にあります。皮膚以外の症状の度合いにも考慮しながら、外用薬やコルヒチン(通常痛風の治療薬)、ステロイド、生物学的製剤を処方します。