手や指先に痛み・
こわばり・変形などの症状がある方
⇒手や指先に痛み・こわばり・変形などの症状がある方は、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、強皮症、パルボウイルスなどのウイルス感染による反応性関節炎の疑いがあります。
関節リウマチ
リウマチを発症した時、初めに痛くなる関節で一番多いのは「手の指」です。実際に、リウマチを発症した方の50%以上が、初めに手指が痛くなっています。
まずは、下記の7つのポイントを踏まえてみましょう。
- 指の第一関節が痛い場合、リウマチの可能性は極めて低い
指の第一関節の痛みや膨らみは、リウマチよりも変形性関節症や乾癬性関節炎である可能性が考えられます。 - 特に人差し指と中指の付け根は、リウマチが起こりやすい
原因は不明ですが、リウマチのほとんどは人差し指と中指の付け根に、痛みや腫れが現れやすい傾向があります。 - 痛みだけでなくぷっくりと腫れている。腫れている部分を押すと痛む
痛みだけが起こる疾患の多くは、関節以外の筋肉や皮膚などの痛みしか見られません。しかしリウマチは関節内で炎症が起こるため、関節が腫れてぷっくり膨らみます。関節が腫れると、「皮膚が赤くなる」「膨らんでシワが見えない」などの様子を見せます。腫れている部分を押すとブヨブヨとしており、痛みも伴っています。 - 1本だけでなく何本もの指が痛む。また手首や肘、足なども同時に痛む
リウマチは免疫細胞が過剰になる疾患です。過剰に身体を攻撃する免疫細胞は、血管を通過して全身へめぐっていきます。その結果、1か所の関節が痛むのではなく、ところどころの関節も痛むのです。 - 痛みが2~3日で消えない。痛みが何週間も続いている
関節内に炎症が起こり続けるため、痛みが長期間続きます。またリウマチの場合、痛みがひどくなったり、痛む関節の数が多くなったりすることもあります。 - 動かした時だけでなく、安静にしている時も痛い
整形外科で診る打撲や捻挫などで生じた痛みは、動かした時に痛くなる「運動時痛」です。一方リウマチの場合は、動かした時もじっとしている時も、ズキズキ、ズーンとした痛みが起こります。ちなみに、おとなしく過ごしている時の痛みを「安静時痛」といいます。 - 指の中からズーン、ズキズキとする痛みが出てくるような感じになる
そもそも痛みは目に見えない症状ですので、第三者に説明するのはなかなか難しいものです。リウマチの患者様に痛みについて説明していただくと、多くの方から「ズーン」「ズキズキ」とした痛みだという答えをいただきます。関節内で炎症が起こっているので、そういった表現になるのではないかと感じます。ちなみに「ピリピリ」「チクチク」という表面的な痛みは、皮膚の痛みや神経痛であるケースが多いため、リウマチである可能性は極めて低いです。
さらに、手指の関節は小さいため、血液検査を行っても炎症反応(CRP)が正常値であるケースも少なくありません。指の痛みでお悩みの方は、関節エコーで指の中に炎症が生じていないかをチェックしましょう。
変形性関節症
(へんけいせいかんせつしょう)
「リウマチが起こっていない爪の下の関節が痛い、変形した」場合は、変形性関節症の可能性が考えられます。これは、加齢や手の酷使によって、指と指の間にある軟骨が擦り減ることで発症する疾患です。変形性関節症の場合、リウマチ薬は効果がなく、安静や湿布、鎮痛剤などの対症療法を行います。
変形性関節症は、50歳を超えている女性に多く見られる疾患で、発症頻度も少なくありません。ちなみに、指の一番先(第1関節)に起こる変形性膝関節症は「へバーデン結節」、その下の第二関節に起こる変形性膝関節症は「ブシャール結節」が疑われます。
乾癬性関節炎
先述したように、リウマチが起こっていない爪の下にある関節が痛い場合は、加齢による変形性関節症が疑われます。しかし、乾癬性関節炎である可能性もあります。乾癬性関節炎とはリウマチと同様に、免疫細胞が関節を攻撃することで、関節痛や変形を引き起こす疾患です。関節の症状だけでなく、頭や肘・お尻などに乾いた赤い湿疹が出る、爪が黄色くボロボロになるといった症状も見られます。高齢の女性の方がかかりやすい変形性関節症に対して、乾癬性関節炎は30~歳台で発症することが多く、やや男性に発症するケースが多いです。乾癬性関節炎は、リウマチの治療薬がとても有効とされているため、お悩みの方は当院までご相談ください。
強皮症
免疫細胞が自身の身体を攻撃してしまう疾患です。膠原病(こうげんびょう)の一種とされています。手指の皮膚がダメージを受けてしまうため、初期は指全体がソーセージのように腫れてしまいます。そして数ヶ月経つと、腫れが引いて皮膚が固くなっていきます。指全体が腫れている初期は、ステロイドを少量投与するのが有効とされています。腫れが引いて皮膚が固くなった時期に入りましたら、指先の血流を促す治療が必要です。肺や心臓、胃腸など、内臓病変の合併もありますので、定期的に通院・検査をする必要があります。
反応性関節炎
ウイルスに感染することをきっかけに、関節が痛くなるケースもあります。
インフルエンザになった時、関節痛に悩まされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。関節痛を引き起こすウイルスはたくさんありますが、パルボウイルス関節炎は、小さいお子さんを持つ女性に多く見られる疾患です。
パルボウイルスとは、小さい子どもが発症する「リンゴ病」を引き起こすウイルスです。お子さんが感染すると発熱を起こし、頬が赤くなります。お子さんを介して感染すると、関節痛が起こります。この場合は鎮痛剤を飲めば、数週間で回復するのでご安心ください。